朝の電話というのは、だいたい、
良くない知らせなのは知っている。
東京では選挙戦が始まって、
世論調査のAI音声な電話が掛かってくるので、
余計に固定電話に出るのは気が進まない。
そして、web会議があったりでとらずに居たら、
やはり良くない知らせだった。
コロナ前から患っていた叔父が亡くなった。
認知症も悪性腫瘍もあったはずで、
最後に逢ったのは2年前か、コロナもあって、
定期的に逢うことはなくなっていた。
母の弟で、血縁の縁が薄い我が家では
それでも一番頻繁に会う親戚だったのだが…
なにより私に、いつでもどこでも旅先でも
美術館には行くものだと教えてくれたし、
見たままに描かなくてもいい、
ということも、彼に教わったと思う。
展覧会に行くと、彼に出す絵葉書を買っていた。
それももう必要なくなるんだろう。
彼の新しい絵を見る日ももう来ない。
母はこれから、弟が住んで居た家を片付け、
彼女の実家でもあるその家を処分するか、
どうするのか決めるんだろう。
母方の菩提寺は瀬戸内の街にある。
叔父はクリスチャンであったはずだが、
葬儀は仏式なんだろう。
いつか来る日なのは解っていても、
思っていたよりずっと悲しい。