今日はちょっとザファ話をお休みしてですね…
あ、あとちゃんと学んだり調べた訳ではないので、
用語の誤用があったり、差別的な書き方になるかもなので、
そのときは遠慮なくご一報下さい。直します。
さて、文学フリマ東京38で入手したこちら、
古書ますく堂さんの
「おっさんずラブ」という伝説を読んでまして。

おっラブは最初の単発ドラマは知らなくて、
連ドラと映画版は観ましたが、連ドラ2はちらっとで…
でもTLに流れてきて、これぞ文フリっぽい!
とわくわくで手に入れたんですが、今頃になったと。
なお、こちらは連ドラ2の対談がメインで、
でも連ドラ1・映画版の対談も収録されてます。
内容はもちろん、おっラブの考察なのですが、
そこを入り口に、元々あるBLジャンルから、
実写BLドラマの隆盛(?)やら、
日本の連ドラ文化の中での
セクシャルマイノリティ関連作品の現状、
みたいな考察にもなってて、たいへん面白いです。
そこで取り上げられていた話題で、
おっラブ単発ドラマが2016年、連ドラが2018年、
映画が2019年、連ドラ2が2024年と
(パラレルのインザスカイもありましたが)
間にコロナも挟んでますが、それ以上に
LGBTQやセクシャルマイノリティへの理解度、
というとまた違うんだけど、社会全体での
セクマイの受容耐性というか受け止め方が
思ってた以上に決定的に変わった気がする、ということ。
あーーーーー、そう、それはあるだろうなーーって。
おっラブがヒットしたおかげでもあるけど、
続くなに食べとか、腐女子うっかりとか、
それ以外にもそこここの作品に自然に、そう、
とらつばの吉田さんの談を借りれば、
まさに設定ではなくて当たり前に存在するものとして
セクマイのあれこれが取り込まれるようになった。
つまり、そもそも特殊設定の元に成り立っていた
BL文学たるものが、もう変質してしまったよなあと。
JUNEが発生したのかしら、と思うんだけど…
(本邦にむかしっからある”衆道”文化は
あれは虐待だったりホモソなものなので、
相関はあるけどまるで別次元のものと思う)
元々BLは、性的に消費されがちな女性が
「自分たちが性的に消費される恐れがない」
「自分たちと無関係に男性や男体を消費できる」
「受けに自分を仮託して攻めの愛を享受する」
ものとして広がっていた、と云う言説には
それはそうだろうなあ、と頷く程度には説得力がある。
最後のは微妙、というか、自分はあくまで第三者、
巻き込まないでくれ(?)って人も多そうだけど。
ヘテロの恋愛物だと、自分たち=女性が
必ず妊娠・出産という命のリスクを負ったり、
(当時は今よりももっと大変だったろう)
婚姻制度に取り込まれる違和感と反骨を
感じなくて済むBLは、純粋に男性性を愉しめた。
ってのは、一面として正しいんじゃないかと…
でもそこには、あくまで「同性愛」はイレギュラで
「なかったこと」にされてきた背景がある。
存在しないからファンタジーだったんだよね。
結婚も妊娠も出産もしないリスクのない恋愛として
純粋に登場人物達の心情だけに向き合えば良かった。
そして、同性愛は「あってはならない」感情で
それが生じたのには『理由』があるはずだ、
もしくは、どうして人は人に恋をするのか、
という命題に向き合う作品群が生まれ得たんだよね。
男同士だから、繁殖欲や肉欲から切り離されて、
ただ純粋に相手をどう思ってどう受け入れるのか、
人が人を許すとはどういうことか、
何のために生きるのか、何のために殺すのか。
つまり、セックスとは別の、人と人が繋がり方が
メインの物語になってよな、と。
(その結果としてセックスがあったりするけど…)
しかし、それが近年壊れてしまった。
要するに、昔は「同性愛」が背徳的なものだったのに、
今ではごく一般的に有り得るものになった。
同性愛は当然、生殖的にはイレギュラだし、
今でも社会的にはマイノリティなんだけれども、
それは「有り得ないもの」でも「罪」でもなく、
10人に1人は「そう」なのだという話になった結果、
創作作品としても、それは当たり前になった。
だから、「どうしてそうなのか」という悩みは
「そうなんだから仕方がない」と結論づけても
なにひとつ無理が無くなってしまった、というか。
ってことは、同性を好きになることの葛藤は少なく、
行き着く先がセックスであることも当然だし、
結婚するのさえ自然になってしまったので、
思い悩んで心中したりはしない、というか(雑な喩え)
いわゆる「萌え」があればいいじゃない、で
シチュエーションやキャラが好みであれば
あとは恋愛ものの王道を踏んでるだけというか…
つまり、最近のBLって、
魂の根源を問うようなことはしなくてよくなった。
そしたら、妙に生々しい恋愛物しかなくなって、
物語の豊饒さが目減りしてる気がした。
という話でした!結論が偉そうだな!!
なお、冒頭の評論(かな?)について
興味のある方、ますく堂さんのアカウントはこちら。
#文学フリマ大阪 に初出展致します。屋号は「古書ますく堂」! 店主ともども総力戦で臨みます(笑)
— 【文学フリマ大阪 そ57~58】《ますく堂なまけもの叢書》発行人 (@ayumu_KM) 2024年8月12日
📖「李琴峰『言霊の幸う国で』を読む」
📍文学フリマ大阪12|そ-57〜58/古書ますく堂
🗓9/8(日) 12:00〜
📕イベント詳細→ https://t.co/oNTqkmqAug https://t.co/hDELZJSPzM #文学フリマ大阪